わたしの意地悪な弟
「分かった。でも、樹には聞かなくていいんだね」

「樹君は千波がいればどうでもよさそうだもん」

 亜子がそう言うと、利香に拳で小突かれていた。

「それは言わない約束だよね」

「そうだっけ。ごめん。忘れてね」

 彼女はそう強引に話を締める。日和もそんなことを言っていた。

正直樹はわたしがいようといまいと、そんなに深くは気にしないとは思うが、なぜ彼女たちはそう決めつけるんだろう。

 ふとあの嫉妬してほしいといった彼の言葉が脳裏を過ぎる。

 わたしにそういうことをされたら、そんなのうっとおしくないんだろうか。

 樹はシスコンなんだろうか。

 彼にそう言ったことはあるが、否定はしなかった。

 だが、そのままの言葉を受け止めるのはどうもできない。

 彼にとってわたしはおもちゃみたいなもので、わたしを大好きだと思っているようには思えなかったのだ。

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