わたしの意地悪な弟
 彼女の声は辺りの雑踏に飲み込まれそうなほど、徐々に小さくなっていった。

 彼女はかなしげに微笑んだ

「やっぱり無理だったのかな。一度振られたあと、田中さんから大丈夫って言われて、期待してしまっていたのかな」

「田中さん?」

 わたしは思いがけない言葉にドキッとする。

「田中恵美さんといって、わたしと藤宮君と同じクラスなんです」

「顔は知っている。何か言われたの?」

「断られたあとに、彼女から藤宮君に告白したのかって聞かれたんです。断られたと話をしたら、彼女からきっと大丈夫だからもう少し頑張ってと。

藤宮君に迷惑がられるかもしれないと思いながらも、どうしても忘れられなくて、藤宮君を休みの日に誘って遊びに出かけたりしていました。

彼も自分のことを少しずつ話してくれるようになってきて、可能性も少しは出てきたのかなと思っていたんですが、今朝、はっきりとわたしとは付き合えないと断わられたんです」
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