わたしの意地悪な弟
「久しぶりだね」

 日和は利香の言葉に笑顔で言葉を交わす。

 わたしたちは他愛ない会話をしたあと、交差点のところで別れた。

「今日、樹とは一緒じゃないんだね」

「樹もいろいろあるんじゃないかな」

「そうかもしれないけど」

 日和は浮かない顔をしながらもそれ以上何も言わなかった。

 家に帰ると玄関の鍵が開いていた。そして、玄関先には樹の靴だけがぽつんと置いてある。

 やはり何も言わずに帰ってきたんだ。

 わたしはそっと唇を噛んだ。

 なぜわたしは樹に避けられているんだろう。

 わたしのほうが避けたいくらいなのに。

 日和は先に階段をあがる。

 わたしが二階にいったとき、日和の部屋が開いていて、日和の姿はなかった。

 夕食時、お母さんに呼ばれて部屋を出ると樹と顔を合わせた。

 彼はわたしと目が合うと、目をそらした。

「今日の帰り、半田先輩と一緒じゃなかったんだ」

「半田君、部活あるでしょう」

「そうだったね」
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