わたしの意地悪な弟
 自分に非があるなんて考えたこともなかったのだ。

 家に帰って樹に会ったら、何をどういえばいいのだろう。

 心のどこかで樹が目の前を通りかかり、わたしに気づき「千波」と呼んでくれるのを期待していたのだと思う。

 だが、わたしの願いに反発するように、太陽が徐々に傾き、公園の前の道の人通りも多くなる。

 わたしのある種の期待は外れていたようで、樹が公園の前を通ることはなかった。

 そんな他人任せの気持ちが、今の樹との微妙な関係を産んだのかもしれない。

「何やっているんだろう」

 わたしは唇を噛むと、天を仰いだ。

「今日、英語の宿題が出ていたんだ。古典も」

 郷愁の世界から現実へ戻ると、これからの予定を頭の中で組み立てていく。

 だが、一番にしないといけないのは、樹に謝らないといけないことだ。

 彼の冗談は笑えないものが多かったし、それを全面的に許そうとは思わない。

 わたしは両親が再婚した時、樹のお姉さんになりたいと思ったのだ。

 その気持ちは今でもあると思う。
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