キミはまぼろしの婚約者
昔ここの街に住んでいたことがあるというのは話しているらしく、記憶喪失だなんて話はまったくないらしい。

本当にただ忘れているだけなのかな……。

ぼけっと考えていると、ジャージが入ったバッグを持つありさが、「体育行こー」と声を掛けてきた。

私も慌てて準備をして、ミキマキコンビも一緒に、4人で体育館へ向かう。


「海姫、今度の球技大会は絶対勝とうね!」


スポーツ全般が得意なありさは、同じく運動神経抜群の海姫ちゃんの肩に腕を回して、意気揚々と言った。

海姫ちゃんも得意げに口角を上げる。


「もちろん。ブザービートで3ポイント決めて勝つシナリオができてるわ」

「それめっちゃアツいじゃん! 安西先生もびっくりだよ」

「てことで、ありさ頑張ってね」

「あたしにやれって言うんかい!」


盛り上がるふたりを、私と真木ちゃんはのほほんと後ろから眺めながらついていく。

気付けばもう5月に入っていて、月末には球技大会があるのだ。

私は、運動は嫌いじゃないけど得意でもない。いや、むしろどんくさい。

だから、ありさ達がとっても羨ましいし、カッコいいなと思う。

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