キミはまぼろしの婚約者

 * * *


球技大会、当日。

私達女子4人組は、自分達の試合の合間に、4組対5組のサッカーの試合を見に来ていた。

キョウがけしかけた、あの約束が懸かっている試合だ。

コートの中では、白いTシャツにジャージ姿が爽やかな律が、華麗にボールを操っている。


「さすが、逢坂くんカッコいいですね」

「ほんとほんと。サポーターの歓声が一気に黄色くなったわ」


真木ちゃんと海姫ちゃんが、腕組みをしながら感心したように話している。

黄色い声援は送っていないけど、目をハートにしているのは私も同じ。

律がサッカーやってるとこ、久々に見たなぁ。本当にカッコいい。


「あれでサッカー部入ってないなんて、もったいないねぇ」


ありさの言葉に、私も心底同意する。

少し前に真木ちゃんから聞いていたけど、律は高校ではサッカー部に入っていないらしい。理由まではわからないみたいだけど。

私はずっと続けるものだと思っていたから、ものすごく意外だ。それに……。


「でもなんか、ちょっと手を抜いてるような気が……」


なんとなくだけど、動きにキレがないように思えて、そう呟いた。

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