キミはまぼろしの婚約者
「ちゃんと来たな」

「来なかったらまた教室に乗り込んでくるだろ」


冗談っぽく返す律だけど、キョウは満足げな笑みを浮かべるのだった。



さっそく電車に乗った私達は、程よく混んでいる車内の隅に立って揺られていた。

こんなふうに皆で出掛けるのは久々だ。わくわくしているのは私だけかな?

流れる景色を目に映していると、ありさが何気なく言う。


「サニーサイドって、なんかゆるキャラみたいなマスコットいたよね」

「おひさまの妖精、サニーレ」


キョウがすぐ解答して、私もありさも「それそれ!」と、なぜか盛り上がる。

サニーサイドとサニーレタスを掛けているらしい、キモかわいいマスコットがいるんだよね。


「おひさまっていうくせに見た目レタスみたいなんだよな」

「なんだそりゃ」


キョウの説明に、律が笑いながらつっこんだ。

無邪気な笑顔を見せる彼にまたキュンとしていると、ありさが「逢坂くんはサニーサイド初めて?」と問い掛けた。

律は少し考えるように、目線を斜め上にさ迷わせる。

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