キミはまぼろしの婚約者
そんな6月下旬、教室でミキマキコンビとお弁当を食べていると、海姫ちゃんが突然こんなことを言い出す。


「ところでさぁ、ふたりは逢坂くんとその後どうなったの?」


目をぱちくりさせる、私とありさ。


「へ……何で?」

「前から真木にいろいろ調べてもらってたじゃん。皆で遊びにも行ったみたいだし。どっちかが彼のこと好きなんだとしか思えないでしょ」


そっか、海姫ちゃん達には打ち明けてなかったけど、そりゃ気付くよね……。

内緒にしていたわけじゃなくて、あえて自分からは言わなかっただけなんだけど。

「そろそろ教えてよ~」と口を尖らせる彼女に、ありさが意味ありげに口角を上げて言う。


「あたしが彼のこと好きなように見える?」

「見えない。つか、恋してるオーラがない」

「自分から聞いといてちょっと凹むけど、その通り」


カクリとうなだれるありさに構わず、海姫ちゃんは目を輝かせて机に身を乗り出す。


「じゃあ小夜ちゃんなんだ!」

「旦那様……かわいそうに」

「ダンナじゃないっちゅーに!」


淡々と箸をすすめる真木ちゃん、まだそれを言うか!

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