社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~

「ね、河原さんもそう思うでしょう?」

「……そうですね」

私の気のない返しに、あきらかに不満そうな顔になる。しかし私は手を止めずにコーヒーの準備をした。

入社してすぐに貴和子さんに言われた。女子社員の三大戦場は、ロッカールーム・トイレ・そして給湯室だと。

お互いの見栄と、腹の探り合い、真偽の定かでないうわさ話に悪口。男性社員の目が届きにくく、それが渦巻く場所はまさに戦場さながら。入社して半年経ったころには、貴和子さんの表現が決して大袈裟じゃないということがわかった。

こういった付き合いが苦手な私は、あたりさわりのない返事をすることしかできない。

「そういえば、今日のランチ蓮井さんと、滝本さんと行ってたよね? なに食べたの?」

「いつもの定食です」

「ふーん。ねぇ、あんな総合職のキャリアたちと一緒にいて大変じゃない?」

「どういうことですか?」

今まで大変だなんて感じたことはない。私にとって合田さんとふたりっきりの今の状況の方が大変だ。

「劣等感とか感じない? 同じ会社なのに、給与はあっちのほうがいいし、それに私たちは向こう命令されて動く一般職でしょ? 見下されてる気がしない?」

「いえ、そんなことは……」

あのふたりに関してはそんなこと全くない。むしろ私のことを気にかけて声をかけてくれている。

それに私は、見下されるような仕事はしてないつもりだ。

色々いいたいことがあるが、波風立てるわけにもいかない。結局私はまた曖昧な返事をすることしかできなかった。
< 18 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop