社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
午後から営業会議が行われる。本社と近くにある営業所の課長以上の役職付きの人たちが集まる、月はじめの会議だった。
営業課の会議なので、私はほかの課の女子社員たちと会議の準備を進める。会場の準備はすでに午前中に終わらせていたので、あとはお茶の準備をするだけだ。
普段お客様以外にお茶の準備をすることはないが、こういった会議のときは昔からの慣例としてコーヒーを提供することになっている。
二台のコーヒーサーバーを使い、コーヒーの準備を狭い給湯室で行う。一緒に準備をしてくれているのは二つ上の先輩で、営業二課の合田真紀子(ごうだまきこ)さんだ。
「合田さん、本社の人のはこれでいいんですか?」
「うん。あーっと、営業企画部の部長と衣川課長はブラックだから。お砂糖とか面倒だからつけなくていいよ。衣川課長なんか一度も私たちの淹れたコーヒー飲んだことないんだから、準備もしなくていいくらいよ」
たしかに、会議のときに準備したコーヒーに手をつけたのを見たことがない。
「私たちの淹れたコーヒーなんて飲めないんでしょうね。あの鉄仮面。いちいち細かくて嫌になるわ。あんなのの下で働くなんて私なら耐えられないわ」
同情の視線を向けられて「はぁ」とごまかす。
私としては、以前のなににも教えてくれない課長よりも、厳しいけれどきちんと仕事を教えてくれる衣川課長の方が仕事がやりやすい。
それから合田さんは、日頃の不満をもらしたり、社内の噂をあれやこれやと話す。