社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
時間というものは、傷ついた人には優しい。
あれから一週間。私は表面上は普段の自分を取り戻していた。ときどき、胸が痛むこともあるけれど、仕事に没頭していればそれもいつか消えていく。
幸い衣川課長は出張や会議でデスクにいないことも多く、久しぶりに顔を合わせたときには鉄仮面のままの表情がありがたく感じた。
あの表情をしてくれているなら、ただの上司だって思えるもの。
「衣川課長、これ先にチェックしてもらっていいですか?」
デスクの前に立ち、資料を手渡した。
「あぁ、電話一本かけたらすぐやる」
「よろしくお願いします」
普通に話せてほっとする。やれば出来るじゃない、私。
自分でも少し立ち直ってきたと思った、週末の金曜日。
私は、仕事終わりにロッカールームで汐里さんと貴和子さんに拉致されてしまう。
連れてこられたのは、会社からひと駅ほど先にあるオイスターバーだった。
少し薄暗い店内だったが、ブルーのライトが落ち着いた雰囲気を醸し出していて、氷の敷き詰められたカウンターには所狭しと美味しそうな牡蠣が並んでいた。
つい立てで仕切られたラウンド型のテーブルに三人で座ると、汐里さんがすぐにメニューを広げた。
「貴和子さんワインいきますか?」
「いいわね。ピノ・ノワールある?」
「あります。それ一本行きましょう!」