社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
あまりお酒が得意ではない私からみれば、ふたりは酒豪だ。いつもならふたりで一本ずつワインを開けたりする。
「朔ちゃんは、飲む?」
「いえ、私はジンジャーエールで」
「了解。すみませーーん!」
汐里さんが元気よく手を上げて店員さんを呼び、飲み物と一緒にメインである牡蠣を手早く注文してくれた。
その間、貴和子さんがちらりと私に視線を向けたのが分かった。注文を終えた汐里さんも私の顔色を窺うような表情を見せる。
ふたりの聞きたいことはわかっている。しかし、他愛のない話をしながら飲み物が来るまでふたりは確信には触れなかった。きっと、私から話しをするのを待っていてくれたのだ。
「あの、私ふたりにお話ししておきたいことがあります」
飲み物が手元にきて軽く乾杯をしたあと、私は話を切りだした。
終わった恋の話しをするのはどうだろう。しかも相手は社内の人間だ。だけど、まだお腹の中にあるモヤモヤと渦巻くものを吐き出してしまいたかった。
それに貴和子さんには、急に変な態度になった理由をきちんと説明して謝るべきだとも思う。
ふたりとも、グラスを置いて私の話に耳を傾けてくれた。
「……実は私、衣川課長にふられちゃいました」
貴和子さんの綺麗な目が少しだけ見開いた。汐里さんは驚きを隠そうとせずに口を大きく開いている。
やっぱりビックリするよね。だって、好きだって言うことさえ相談してなかったんだもの。
「あの、会社で倒れた日。思い切って気持ちを伝えたんですけど……はっきと断わられてしまいました。見事撃沈です」
目の奥が熱を帯びてくる。泣いちゃダメだと思い耐えてはいるけれど、目が潤んでいるのが自分でもわかる。