今夜、君にラブロマンスをささげよう。

 ロップは先ほどとは打って変わって、申し訳なさそうに頭が垂(た)れた。

 ……フフ。少し意地悪だったかな。


「そうか、七瀬さんありがとう」


「いえ、そんな。お礼を言われるようなことは何もしてませんので」

 だけどなるほど。七瀬さんが守ろうとしていたのはロップだったわけだ。

 おかげで彼女以外の人間に妖精の存在を知られなくて済んだ。


 彼女には礼を言っても言い足りないくらいだ。

 もし、ロップが誰かに捕まっていたら……。

 ロップのことやフェアリー王国が人間に知られていたかもしれないことを考えただけでもぞっとする。


< 123 / 135 >

この作品をシェア

pagetop