ふたりの日常。~冬の夜~
啓介は、一言で言うとちょっと難しい性格をしている。
うまく言えないんだけど、正直、何を考えているのかよく分からない。
意地悪されることもあるけれど、根は優しい人だ。
啓介だけは、わたしのことを見捨てずに待っていてくれるから。

通勤途中に携帯を開くと、一通のメールが届いていた。

『ビーフシチューまた作ってよ』

そんな短文でもわたしのテンションは最高潮に上がる。
朝ご飯に食べてくれたんだ。
わたしの気持ちは、きっとあの頃と何も変わっていない。

その日からしばらく、わたしはずっと機嫌が良かった。

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