フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
「…チーフ」
「…本当、お前は目が離せない」

「…あの」

困ったような顔で、悠人を見上げるかすみ。

「…ブーケは?」
「…新しいブーケは、ショーケース型の冷蔵庫の中に」

…やっと、体を離した悠人。かすみはドキドキする胸を押さえる。

「…そうか…遠藤」
「…はい」

「…これからは、一人で勝手に行動するな」
「…はい…すみませんでした」

抱きしめられた理由を聞こうと思ったが、聞けるはずもなく…

「…今日はもう遅い。送っていく」
「…いえ、一人で帰れます」

「…また、心配をかけさせたいか?」
「…」

「…行くぞ」
「…はい…お願いします」

悠人の車に乗り込むと、かすみ家に向かった。

昔ながらの日本家屋の平屋。今は父と二人でそこに住んでいる。庭には、プランターにたくさんの花が植えられている。母が大事に育てていた。

それを今は、かすみと父の二人で育てている。

「…ありがとうございました」
「…なぁ、遠藤」

「…はい?」
「…いま、好きな男はいるのか?」

「…いえ」

好きなのかどうかわからないが、気になる人はいたが、敢えてそれは口にしなかった。

「…俺な、遠藤の事が…」「…?」
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