フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
「…あの…西園さんいますか?」

その時、突然店のドアが開き、かすみが顔を覗かせた。

『もうフラワーガーデンには行きません』

そう言っていたかすみが、店を訪れた事に、当然、薫は驚く。…かすみもまた、ここに来ないと言った手前、きたくはなかったのだが、どうしても来なければならない理由があった。

「どうしたんですか、かすみさん?」

慌ててかすみの元に駆け寄る薫。

…そんな薫を初めて見た桜子は、直ぐにピンときた。

薫は、この人の事が好きだと。

「…これを忘れてたので」

そう言って、薫に差し出したのは、ブルーのスマホ。薫は、打ち合わせ場所に忘れて帰っていて全く気づいていなかった。

「…すみません、全然知りませんでした」
そう言ってスマホを受け取る。

「私も、気付くのが遅くなってしまって」
「…え?」

かすみの言葉に薫は首をかしげる。

「…同じだったから」
「…同じって」

「機種もカラーも全く同じのスマホだったんです。私のはカバンにしまってたのに、テーブルにあるのが自分の物だと勘違いしてて…自分の携帯が鳴って、初めてこれが西園さんの物だってわかったんです」

「そうだったんですか。でも、わざわざ届けていただいて、ありがとうございました」

「いいえ…それじゃあ……⁈」

かすみは、奥にいる桜子と目が合い、慌てて目をそらすと、逃げるように、その場を去ろうとする。

「かすみさん、送ります。桜子さん、私はこれから出ますので、「いいです、いいです!お取込み中すみませんでした」

かすみは、薫から離れるとその場を足早に去った。

「…薫のウソつき」
「…何のことです?」

「…私も帰る」
「…」

桜子も、ドアを開けると、帰って行った。
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