冷たい君の裏側。
なんだか気が抜けてしまった。
あ、ガトーショコラ…も要らないよね。
また生ゴミ行きだ…
本当にごめんなさい。
食べ物を粗末にして…。

ひとりキッチンでうつむく。
涙がこぼれそうだから。

一回泣いてしまうともうダメだ。
涙腺が緩みやすくなる。


身支度を整えたソラくんがリビングへ戻ってくる。
私が入れておいたコーヒーを無言で飲む。

まるで家政婦じゃないか…そう思って自己嫌悪に陥る。


「…りがと」

不意にソラくんの口から出た言葉が私の耳に入る。
それはまるで、私に対する『ありがと』のようで。


「知華」

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