冷たい君の裏側。
幻聴かと思った。
ソラくんの口からソラくんの声で発せられた私の名前が。

「ど、どうしたの?」

「コーヒー。ありがと」

幻聴かと思ったそれは、どうやら幻聴じゃなかったようで。
いきなりの出来事に慌てる。

「ど、どういたしまして!」

それを聞くとソラくんはバックをもって立ち上がった。
そして、玄関へ向かう。

私よりも早く行くソラくんを見送るために。

「ソラくん、いってらっしゃい」

「ん」

いつもと変わらない ん のひとこと今日は少しだけ…、少しだけ特別に聞こえた。

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