一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「今日は父と母の命日だったんです。それでお墓参りに来てて…」
先程飾ったコスモスが風に吹かれて揺れている。それを見つめながら笑みを浮かべた。
「今年は皆さんが来てくれたから…」
1人で来ると決めていた2人のお墓参り。1人で泣いて、絶望していたこの日。
今年は、違った。
「二人も…こんなに沢山の人達がここに来てくれて…きっと寂しくないね」
優しくコスモスに触れてみる。「ありがとう」そう言うかのようにゆらゆらと揺れている。
「夢月さん……」
タケさんも狼牙の皆も心配そうにあたしを見ていた。
「…秋武 蓮です。これからは、俺が傍で守っていく、だから安心してほしい」
蓮は墓石の前で頭を下げた。
「蓮…さ………」
それに、胸がいっぱいになり、声が震える。
―バッ!!
「俺達も誓うっす!!」
狼牙の皆も墓石に向かって頭を下げた。
―ポタンッ。
涙がまた溢れた。嬉しくて、温かい涙もあるんだと知った。
「ママ…パパ…」
今年は本当に沢山の人が二人の死を弔ってくれたよ。
「…夢月……」
蓮さんは優しくあたしを抱きしめてくれる。
「ありがとう…ありがとうっ…」
それから蓮さんの腕の中で、1番星が輝き始めるまで、泣き続けた。