ドラマ好きの何が悪い
妙に冷静な自分と極度に緊張している自分が混在している。

息を潜めて、とにかくこの場に私がいるってことだけはばれないようにしなくちゃ。

胸のドキドキがうるさいくらいに耳元で聞こえてる。

シュンキの表情は見えないけれど、女性がシュンキを見つめる目は恋する少女そのものだった。

もちろん、女性は私たちより年上なんだけど。

年齢関係なく、好きになっちゃったらこんな風になっちゃうんだろう。女って。

二人はコーヒーを頼んでいた。

女性は談笑しながらコーヒーを飲んでいる。

シュンキはほとんどコーヒーには手をつけなかった。

時々、女性の話に頷いて、そして何度か前髪を掻き上げた。

見ている限り、女性が一方的に話しているように見えた。

シュンキはそれほど無口な方ではなかったはず。

敢えてしゃべらないの?

二人の関係はどういう関係?

もう切れたはずじゃなかったの?

シュンキに思い切って尋ねようとしていたことが目の前で言葉以上の真実を伝えている。

神様、もう聞かなくていいってこと?

お前にはシュンキはふさわしくないと言ってるの?

二人を目の前に見せつけられてる状況に泣きそうになる。

あまりにも情けなくて。

こういう時、ハルカだったらどうするんだろう。

二人の間に乗り込んでいくだろうか。

私にはもちろんそんな勇気はないし、この現場を見たっていうことすらシュンキに問いただせるかどうかもわからない。




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