ドラマ好きの何が悪い
時計を見たら、もうすぐ23時だった。

そろそろ帰らなくちゃ。だけど、帰るならシュンキの横のテーブルを通ってシュンキの目の前のレジで精算しなくちゃならない。

絶対シュンキ達の後でないとレジには行けないよー。

店主が、「そろそろラストオーダーお願いします。お店は23時半には閉めさせて頂きます。」と店内を見渡しながら残っているお客に声をかけた。

何人かの客が席を立ちレジに向かった。

どさくさに紛れてレジに行こうか。気づかないふりくらいはできるし。

これ以上ここにいたら私どうにかなってしまいそうだわ。

そう思う私は、やっぱりシュンキに恋をしているんだろうか。

それとも35を過ぎた女がこういう状況になってることに耐えられないんだろうか。

そんなことゆっくり考える余裕も今はない。

雑誌をテーブルにおいて、バッグを提げて立ち上がった。

素知らぬ顔をして、シュンキのいるテーブルの横をすり抜けた。

あー、ドキドキする。

シュンキは私の背中を見つけただろうか。

レジの前に立った時、シュンキの「あ。」と言う声が背後に聞こえた。

振り返るべき??

振り返れるはずもない。私みたいな小心者は。

レジでお勘定を済ませると、足早にお店を出て行った。

出た途端、ようやく息苦しさから開放され大きく深呼吸した。

ゆっくりと駅に向かって歩き出す。

なんなの?

シュンキはまだあの女性とは切れてない。

不倫は続いてるんだわ。

あんなに私のこと好きみたいなふりして、しかもキスやセックスまでしたのに。

ショックを打ち消すように怒りが私の全身を駆け巡った。
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