ドラマ好きの何が悪い
「だってさ、噂になるってことはそれなりに皆に興味もたれてる証拠じゃんか。こんなお局さんが誰と結婚しようがしまいが、普通どうでもよくない?あんた結構人気者なのね。」

カズエのポジティブなとらえ方に思わず笑ってしまう。

「そういう考え方でいけたら幸せだよね。」

「いいんじゃない?そうやって考えて生きて行くって。何事も悲観的に考えてたら前に進まないし人生楽しくないわよ。」

「そういうカズエだって、つい最近まで悩んで泣いてたくせに。」

「そうだったっけ。」

カズエはおどけた調子で笑った。


そう。カズエは今幸せだった。

旦那の浮気、私も発見してしまったからどうなることかと思っていたけど。

「旦那と腹割って話できたのは本当によかったと思ってる。話し合えるから夫婦なのかもね。かぐらかすような相手だと夫婦は長くは連れ添えないわ。」

カズエがスプーンでつついた氷が軽やかな音を響かせた。

「で、結局旦那さんはあれから浮気相手とは切れたの?」

「知らない-。切れたって言ってるから信じるしかないわ。初めてのモテ期に本人も舞い上がってたんじゃない?ただの金づるにされてただけなのに。ほんと男って馬鹿よね。」

カズエは周りを気にして少し小声で言った。

「でも、まぁこんな時期に新しい命を授かったのも何かの意味があるんだと思うわ。」

そう言いながら、まだ膨らんでいないお腹を大事そうにさすった。

カズエは三人目を妊娠していた。

旦那と浮気の話し合いをして、もう離婚だ!ってなってる最中に発覚した事実。

妊娠したとわかった途端に旦那は浮気相手とけりをつけて、家に戻ってきた。

彼女たちにとっての幸せは、家族の中にあるんだって感じた。

私にはまだわからないけど。

< 206 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop