ドラマ好きの何が悪い
「それにしても・・。」

ハルカの声が前から響く。

「ミナミ先輩と立花さんって本当に仲良しですよね。週末もほとんど一緒にいるんでしょ?」

上目づかいに、ためらいがちにそう言うハルカは女でもかわいいと思う。

カイトは・・・。

運ばれてきたビールをぐびぐび飲んで口の周りに泡をつけた顔で、ようやくハルカの方に目を向けた。

「そうだね。仲良しだよな。」

「なっ。」と再び言いながら、私の肩に手を置いた。

瞬時にその手を払う。

「あんたが厚かましいだけで、仲良しとは違うわ。」

そんなカイトを一瞥して、ハルカの方を向いて言った。

「そうかなぁ。すごく気が合ってる感じする。」

ハルカは尚もしつこく食い下がる。

何度もそこは否定してるってのに、今日はやけについてくるなぁ。

ハルカに紹介するためにカイトをここに呼んでるわけだし。

軽くハルカをにらんだ。

「こないだもさ、俺が勇気を出して口説いたんだけど、全く相手にしてくれなかったよなぁ。」

な!

こんな場所でそんな話する?!

今度はカイトをにらんだ。

「お二人とてもお似合いですよ。結婚すればいいのに。」

ハルカの言葉がテーブルの上をゆっくり宙に浮いて漂ってこちらにやってきた。

カイトと私の動きが不覚にも止まる。

どちらが先にその問いに返答するんだろ。

私?

それとも。

「結婚するんなら、もっと早く結婚しちゃってるよ。」

そう言うと、カイトは一気にジョッキを空けた。

空になったジョッキを見ながら、なぜだか空しい気持ちになってる自分がいた。

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