黒い天使。
いや、正確には2人だった。

会えたら絶対に伝えたいと、そう思っていた言葉は伝えられなくなってしまった。
視界が揺らいで、心がざわめいて、会ったことを後悔した。

それでも、
それでも、
嬉しかったんだ。


でも、今はすごく焦っていて。

小さな2人の子供たちは、泣き叫んでいた。

咲愛ちゃんをベンチに寝かせると、2人を抱き上げた。


小さく見えた2人は意外に重くて、咲愛ちゃんの苦労が少しだけ垣間見えた気がした。

持っていたタオルを濡らして、おでこに当てた。

小さい2人は疲れたのか寝てしまった。
ふたりをベビーカーにのせた。
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