鬼常務の獲物は私!?
赤い舌先とエスケープ



◇◇◇


年が明けて、昨日が仕事始めだった。

今日の午前中はごく普通の業務が続き、今はお昼休みになったところ。

私はお弁当を手に休憩室へ。

6人の営業部女子社員でテーブルを囲み、楽しいランチタイムが始まったのだが……。

私の向かいに座っている星乃ちゃんだけが、この世の終わりみたいな顔をして、頭を抱えていた。


「星乃ちゃん、年末年始のお休みは彼氏と旅行で楽しかったんでしょ? 明るくいこうよ……ね?」


星乃ちゃんは総務部にふたつ年下の彼氏がいる。

お正月休みの間はずっと彼氏とサイパンで楽しんでいたはずなのに、昨日今日と、どんより暗い顔。

その理由は彼氏と喧嘩したからではなく、長期休暇が終わってしまった落胆からでもなく、やっぱり私のことが原因で……。


「元気出して! 星乃ちゃんの恋愛は上手くいってるんだし……」


卵焼きを食べつつフォローしてみたが、それは余計な言葉だったみたい。

頭を抱えていた星乃ちゃんは、うつむいていた顔をゆっくり持ち上げ、鋭い視線をこっちに向けた。


「私の恋愛は上手くいって当然。そんなもの、どうでもいい。問題は……日菜と神永常務がまだ交際に至らぬことにあるんだよ、バカ者が‼︎」


「ひぃっ、ご、ごめんなさい!」


< 122 / 372 >

この作品をシェア

pagetop