鬼常務の獲物は私!?



「社長に謝りに行けたの?」と、玉置さんが心配してくれる。


「それが、まだなんです……部長に一緒に行ってもらおうと思ったら、外回りに出かけてしまって、遅かったみたいで……」


「謝罪はなるべく今日中の方がいいと思うよ。
社長の都合も確認しないといけないよね」


そう言われて、そっかと気づく。
社長もきっとお忙しいはずだから、私の都合で押しかけてはいけないんだ。

そんなことにも気が回らないなんて、私って本当にうすのろ馬鹿かもしれない……。


大失態をやらかした当人の私は、まだ謝りに行くこともできずにいるが、昨日一緒にステージに立った他の営業女子社員は、失神した私に代わって、あの場で社長に謝罪してくれたらしい。


それについても申し訳なく思っている。

休憩室にいる10名の内6人が余興メンバーなので、遅くなってしまったが、皆んなに向けて頭を下げた。

すると皆んなは笑いながら口々に言う。


「日菜ちゃんのことだから、きっとなにかしでかすと思ってたし、気にしなくていいよ」

「そうそう。しばらく話題に事欠かないし、逆にありがたいかも」

「ほら、しょんぼりしないでお弁当食べよう?
日菜ちゃんから笑顔と元気が消えたら、いい所がなくなっちゃう。あ、顔は文句なくかわいいけどね」

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