仲間ってなんだろう

沙羅はぐるっと一周見回したあと、美那と晴樹を見つけると何の迷いもなく2人のところに歩いて来た。




美那と晴樹は驚いて歩いてくる沙羅を見つめていた。



仕事場で何回か会ったことは会っても、3人は話すどころか目を合わせることもしなかった。



晴樹は沙羅の気持ちを考えると話しかけられないでいたし、美那は自分のプライドが許さなかった。



そんな2人から見ても、沙羅が自分達に怯えていることは分かっていた。



一瞬目があってもすぐにそらすし、2人が居ればわざと遠回りをして歩く。



そんな沙羅が今まっすぐこちらに歩いて来ているのだ。




「…久しぶり。」




「………」




沙羅が少し笑って見せても、美那は何も返せなかった。




「元気?」




(なんで、笑ってるの?)




今の自分は沙羅を見て何か声をかけることも出来ない。




(ライバル心を抱いてたのは、自分だけ?)




リーダーがSaraだと分かってから、ずっと敵対心を抱いてきた。



何かあったらまず沙羅と自分を比べ、沙羅ならどうするだろうと考えていた。




(沙羅は私のことどう思ってたの?)




ずっと嫌われていることぐらい分かってる。



だけど自分には、敵だと思ってる相手に笑いかけるなんて無理だ。




「……この際だからさ、撮影の間だけでもお互い許そうよ。」




沙羅が寂しそうに笑って言った。





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