way of life
全て、嘘だった。
全て、幻だった。
梨乃の頬を涙が伝う。
「リノ・・・。すまなかった・・・。こうするしか、なかったのだ」
大好きだったお母さんの料理も。
大好きだった家族の時間も。
楽しかった友だちとの会話も。
全部。
全部。
なかったことになってしまったの?
今まで、生きてきた時間はもうどこにもないというの?
「そんな・・・」
「すまなかった。だが、もう安心してくれていい。もうどこにもやらんし、なに不自由なく過ごせるように」
「触らないでっ」
伸ばされた手を思い切り拒絶する。
傷ついたようなミラン国王の表情に梨乃は視線を反らした。
「落ち着くまで、部屋に」
クロウが静かにそう言った。