強気な彼から逃げられません
人間は学習していく生き物だ。
楽しかった事よりも傷ついた事を覚えているし、二度と同じ悲しみは味わいたくないと身構えてしまう。
だから、どうしても怜さんを受け止められない。
「付き合えません」
ごめんなさい。
そう気持ちを込めて小さく頭を下げた。
私を気に入ってくれてありがとうという気持ちと、どこか後悔に似た気持ちを感じながら、自分の足元を見つめていると。
すっと視界に入ってきたのは怜さんの高そうな靴。
そして、気づけば私は温かい体温に包まれていた。
「れ、怜さん?」
はっと視線を上げると、悲しそうな顔で私を見下ろす怜さんの瞳。
私は、怜さんの腕に抱きしめられ、身動きもぜずじっとしていた。
「飽きるなら、とっくに飽きてるさ。逆に、付き合い始めたら俺の方が飽きられるかもしれない。
だから、自分をそんな風に言うのはやめろよ。 俺は、お前と一緒に過ごしたいし、恋人として認められたい。
だから、少しでも可能性があるのなら、今その可能性を捨てるなんてやめて欲しい」
「でも、今までは、いつも飽きられて振られて泣いてたから、自信がない」
思いがけないほど私を求めてくれる怜さんの言葉に目の奥が熱くなって、声が震えるのをどうしようもできない。