君に遺された恋
そこに居たのが誰なのか、俺は思い出せないが
後から聞いたところによるとそいつは魔女だったらしい。

俺は不覚にもそいつを部屋に入れてしまう。


ドアには鍵をかけられ、手にはナイフを持っていたっけ?


恐怖で体が震えたのをよく覚えている。


その後のことは断片的にしか思い出せないけれど、
その忌々しい魔女はどうやら俺に強烈な魔法をかけ
俺は心をコントロールされてしまったらしい。


思い出したくも無いが、

俺は無我夢中でその魔女を抱いたようだ。

喜びに震えるその女の白く華奢な体を抱きながら
俺は何故か心からそいつを「愛しい」と思った。


「エルナー!私のエルナー…!」


頭の中でそいつの声が聞こえる。


お前は誰だ。


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