強引同期と偽装結婚することになりました
「泣くな。俺が悪いんだから」


「優木くんは悪くない。私が悪いの。私が」


「なあ、葵。もう一度、お父さんと話をさせてくれないか?」


予想もしなかった優木くんの言葉にパッと顔を上げる。お父さんと話?

ああ、結婚することをやめにしたと報告するってこと?


本当に、本当に私たち結婚しないの?いいの?だって、おばあさんの誕生日に結婚式を挙げるって結婚式場まで予約していたのに。


「ダ、ダメだよ。優木くん。私、結婚やめになんてしたくない。新婚旅行、二人で計画しよ?それならいいでしょ?」


「電話、掛けてくれないか?」


そっと腕を離し、テーブルに置きっ放しにしていた私の携帯を差し出す彼。携帯と優木くんを交互に見ると彼は早くと私に促した。


渋々と彼から携帯を受け取り、お父さんへと掛けた。
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