強引同期と偽装結婚することになりました
これが私?さっきまで髪を振り乱して仕事をしていた自分と違う姿に言葉が出ない。さすがはプロ。あんな短時間で見事に私を花嫁にしたて上げてくれた。

まだ、優木くんには会っていない。バージンロードで待ち合わせ。


「お待たせ、優木くん」


振り向いた優木くんも驚いている。本人が驚いたんだから他人はもっと驚くだろうな。

ゆっくりと優木くんの隣へと歩みを進める。私が選んだのは半袖のエンパイアラインのドレス。


今日の主役はあくまでも、おばあさん。だからフリフリのプリンセスラインのドレスよりはシンプルなこのドレスがいいと思った。


それでも、試着と本番では大違い。綺麗に彩られたメイク。可愛らしい髪型。

それだけでこのドレスが全然違うドレスに見える。これを選んで良かったって心から思った。


「優木くん、タキシード似合うね。やっぱり改めて優木くんってかっこいいよね。身長も高いし」


「何、言ってんだ。お前のが綺麗に決まってるだろう」


お互いに褒めあって照れる。優木くんのカッコ良さに式場の人たちも釘付けになってるからヒヤヒヤする。


今日は胸を張って私の旦那さまですって言えないけれど、次、ウェディングドレスを着るときは、もっと胸を張って自慢してやるんだから。
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