強引同期と偽装結婚することになりました
「ゆ、優木くん。今、葵って」

「なんだよ?普通だろう。夫婦になるんだし。それとも葵ちゃんのほうが良かったか?」

「そ、そうじゃなくて」

「だから、お前も俺のことは祐って呼べよ。お前もあと少ししたら優木になるわけだしな。さっ、土産、土産」


完全に優木くんのペースだ。ついていけない。でも、強引に連れて行かれてしまう。まともに話し合いも出来てないのに何も不安はないのかな。

売店でお土産を買って乗り込んだ新幹線。結局何もかも全部優木くんが払ってくれた。


本当にお金を出してもらってばかりで申し訳ないのに返すお金がない。絶対にお給料が入ったら返す。そう、決めた。


「優木くん、あのね」

「あっ、また優木くんって言ったな。はい、ペナルティ」


さっきから優木くんに声を掛けようとすると、必ず阻まれる。


今もまた名前で呼ばなかったからと売店で一緒に買ったお菓子を口に放り込まれる。おかげで口の中はお菓子だらけでモゴモゴしていた。
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