現実世界で捕まえて

「まーそーゆー事で、これから半年間僕が貴女の担当になります。よろしくお願いします」

こいつが目の前にいると感傷的になれない。
死神に優しさを求める方が無理か。

「まずは……」

「まずはどうするの?やりたい事リストでも作ります?」

その中から色々選ぶんだよね。
5つの願いをいかに有効に使えるように。

死神の言葉を待っていると

「部屋を片付けて下さい」ってピシャリと言われた。

「へっ?」

「洗濯物が山積みです。雑誌も床に落ちてるしシンクも汚れてる」

小姑か。

「僕が寝る場所もない」

「僕が寝る場所ってどーゆー事?」

そう突っ込むと
男はスカイツリー並みにスーッと立ち上がり腕を組んで私を見下ろす。

「任務完了までずっと傍に居るのが僕達の仕事です」

「いやそんな困ります。こんな狭い部屋で同居なんて」

しかも死神とだよ。
冗談じゃない。

「僕だって嫌だけど仕方ないでしょう。嫌なら早く5つの願いを考えなさい!」

逆ギレされてしまった。

「まったくもう……僕はシンクを綺麗にして夕食を作りますから、貴女はB75のブラを片付けて掃除機かけてお風呂の用意をして下さい」

男は怒りながら軽く手を叩くと、私と男の服装は楽な部屋着に代わりエプロンを着けていた。

あ、この部屋着可愛い。ユニ〇ロの新作だ。しかし死神とおそろい。

「とっとと動きますよ」
男は冷蔵庫を開いて「食材が無い。ありえない」ってまた声を上げていた。

前途多難ってヤツ?
こんな死神と同居?マジかんべんして下さい。
< 11 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop