現実世界で捕まえて

「あのー」

「何ですか?」

「死神さんなら魔法を使って簡単に、部屋をアッという間に片付けたり、夕食を出すのもできると思うのですが」

だよねーだよね。
だって雷を鳴らしたり勝手に部屋に入れたり
お着替えだって自由じゃん。
部屋の片づけくらい簡単じゃん。

すると男は冷たい眼をし
冷蔵庫から私に視線を移動する。

怖っ。

「それをひとつめのお願いにしましょうか?」

「嫌です」
そんなくだらない事で使いたくない。

「僕もこんなくだらない事で使いたくないんです。それに……使うと上にバレますから」

「バレるって?」

「貴女が魔法と言ってる物を僕が使うと、自動的に上に報告されるシステムになってます。何時何分にこーゆー事をやらかしたって」

「普通のサラリーマンみたい」

「同じですよ。だからあまり使いたくない。くだらない事で使うと上でバカにされるし、優秀な死神は術を乱発せずともノルマを達成できる」

再びのドヤ顔。

OL歴のある私が解釈するに
この男は仕事はできるけど自信過剰でエリート意識の高いヤツなんだろう。

間違いなく同僚に嫌われてるな。
そして上司は思う、なんて扱いづらいヤツと。

「ほら手を止めないで動かしなさい!」

「はいっ!」

後輩からも嫌われてるだろう。

そんな男と同居なんて

呪われてるわ。
死神だからある意味正解か。





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