現実世界で捕まえて

社に戻って
午後からの仕事をしようと席に着くと
平野課長は不在だった。

机の上を適当に片付けたまま、彼の席には誰もいない。

残念。叫ぶ姿が見たかった。

「平野課長は?」
さりげなーく
後ろを通り過ぎる後輩に聞くと

「早退ってボードに書いてますよ。それより土屋さん、変なゴミがあるかもしれないから気を付けて下さい」

「変なゴミ?」

「そーなんです。給湯室の鏡の前とか階段の踊り場とか、気持ち悪いんですよ。人の髪の毛みたいなのがごっそりあってキモっ!」
私に説明しながら自分の肩を抱いてゾッとした表情をしていた。

「何それ?」

「わかんないんですけど。変なタタリとか怪奇現象だったらどうしようって、塩でもまいたほうがいいんでしょうかね?」

「うーん。どうだろね?」

はい。私が起こした怪奇現象です。

「あれ?平野課長は?」

バタバタと自分の携帯を持って専務が走ってやって来た。

「早退のようです」
しれっと私が返事をすると、専務はとっても困った顔で小さく「わかった。本社の常務からなんだけど、平野君と連絡とれないようで。よくわからないけど、かなり怒っていてね」そう言いながら、また電話の続きなどをしながら重役室に戻って行く。

うちの専務は、本社の常務と同期で仲良し。
専務は人がいいから
平野課長と常務のお嬢さんとの情報とか、聞けば教えてくれそうだ。

私の4つ目のお願いは

【平野課長の髪の毛とついでに下の毛が抜けてツルツルになり、常務のお嬢さんとの婚約が破棄になり、エリートコースから外れて左遷されド田舎に行き、本気で好きな人ができて、その子を幸せにするまで髪の毛とアソコの毛は生えず、遊びのエッチはデキない身体にしてほしい】

だった。

軽すぎ?



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