陽だまりのなかの僕ら
第2章

幼馴染み四人組



「さ、ついたよ。・・・ケホッ」

おうちゃんの家に着く頃には、おうちゃんの冷たさはどこかへ行ってしまっていた。

「うん。」
私は小さく頷く。
さっとおうちゃんが、玄関のドアを開けてくれる。

こういうところも、すごく気が利くおうちゃん。
感心しながら私は一人頷いていた。


「じゃあ、先になか入ってて。」

「うん、わかった」

家の中に入ると、2階からばたばたと騒がしい音が聞こえた。

音源がだんだんと近づいてくる。


「しぃぃぃまぁあぁぁぁああーー!!!!!」

それと同時に、大きく黄色い声が。
突然誰かにぎゅうっと抱きしめられた。

「お、あ、藍実・・・」

私の腰に巻き付く、私の親友。

花本 藍実(はなもとあいみ)。
私と同じ、高校二年生。


「寂しかったよぉ」

普段はクールなのに、私の前になると、何故かこういうキャラになる。
私は藍実の制服をやさしく握った。


「だって隆貴ってば全然構ってくれないし、女子ひとりって寂しい!」

ぷくっと頬を膨らませて、ふてくされたようにこちらを見る。

ふふ、かわいい・・・

「ねぇ、ちょーっと違う気がするけど?」

後ろから、陽気な声が聞こえた。

「はぁー?なに?隆貴。」

藍実の態度は一変して、声が低くなる。
藍実は後ろを振り返り、睨みをきかせた。


「隆貴さん、二日ぶりだね。」

「うん、二日ぶり。」

ニコッと、眩しい笑顔で笑う隆貴さん。

神田 隆貴(かんだりゅうき)さん。
おうちゃんと同じ高校三年生。


そして、おうちゃんの親友であり、私たちの幼馴染み。

容姿端麗で、成績優秀。そして無自覚モテ男君である。

「あれ、桜輔は?」

あたりをキョロキョロしながら、私に質問する隆貴さん。

「あ、たぶん―――・・・」

私がそう言いかけた時、後ろから、きゅっと包まれた。

いい香りがして、そのなにかに包まれたまま振り返る。

「・・・っおうちゃん」

そこには、Yシャツになったおうちゃんがいた。

露出された肌が、夏なのに白くて綺麗。
緑がかった深い瞳に、吸い込まれそう。


「・・・早く中入ろうよ。ケホッ・・・暑い。」

私の肩に頭をあずけながら、低い声でおうちゃんが言った。


「そ、そうだね。2階・・・でいいんだよね?」

「うん。あ、いや、リビングにしよう。涼しいから。」

さらさらとおうちゃんの柔らかい薄茶色の髪の毛が私の耳に触れる。


「っん」

「あ、ごめん。」

おうちゃんが慌てて私から離れる。
耳がとても熱い。


「ほらー、行こうよ!」

藍実がみんなにひと声かける。


「う、うん!」

私は急いで逃げるように、藍実のもとに走っていった 。



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