陽だまりのなかの僕ら



リビングのドアを開けた瞬間に、私の熱に火照った身体に冷気がしみ渡る。

ぐっと手を伸ばしてそれをしみじみと感じた。

「涼しー・・・」

「あー!やっぱいいわぁ!あたしエアコンと結婚するぅ。」

ふかふかのソファにダイブしながら、藍実がうっとりした顔で言った。


「・・・とうとう人間と恋するのを諦めたのか・・・」

隆貴さんが面白そうな顔をしてやれやれと首を振った。

そう言う隆貴さんを振り返って、藍実が叫んだ。

「違うわよ!あたしはただ・・・」

ちょっと意味ありげな表情で、隆貴さんをみる藍実。

・・・一体どんな意味かはわからないけど。




「まあまあ。じゃあ、どうする?何する?」

スクールバッグを片付けながら、おうちゃんがみんなに聞いた。

みんなでうーんとうなり、

「・・・ご飯、食べたいよね。」

そう意見がまとまって、まず買い出しに行くことにした。

今日の夕飯は、オムライス。
みんな、満一致だった。




さすが、幼馴染み。




「じゃあ、こんな大勢で買い出し行っても意味無いから、二人くらいでいいよね。」

さささっと、おうちゃんが的確な指示をする。

「うん。そうだね。」

私も、その意見に賛成した。

ちらりと、おうちゃんを横目で見る。
相変わらず、整った顔立ち。


「・・・それでいい?詩麻。」

突然振り向かれ、心臓が飛びはねる。

「あっ、えっ、うん。」

私は慌てて頷く。

「じゃあ、隆貴と藍実は買い出し。それまで俺らは勉強ってことで。」

あ、そういうことか。
私がおうちゃんに見とれてる間に、話が進んでたんだな。

気恥ずかしくなって、下唇をかむ。




「いってきまーす!」

隆貴さんとの買い出しは、きっと藍実たっての希望。

藍実は隆貴さんに反抗的な反面、懐いている。

幼馴染みだからだろう。



「いってらっしゃい」





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