陽だまりのなかの僕ら


「なに?」

また、悪戯っぽい笑みが滲む。
白くて悪魔的な八重歯が垣間見える。
夏の風に、壮くんのストレートの黒髪が、さらさらと揺れた。

「あ、の・・・これ、ありがとう。」

ふっと笑って、壮くんが黒板を消す作業に戻る。

「いーえ。風邪ひいたら困るでしょ。」

「私も消すの手伝うよ。」

「ありがとー。」

こう、接しやすいから慕われるんだろうな。私はそう感心しながら、壮をちらっと盗み見していた。

「じゃ、帰ろっか。」

手についた粉をぱんぱん、と払いながら、壮くんが言った。
そんな姿も、とっても綺麗な壮くん。


「うん、そうだね。じゃあ、行こう、壮くん。」

私がスクールバッグを手に取って、教室を出ようとドアに手をかけた時だった。



・・・トン


後ろから、ドアに手をつかれた。


「え・・・」

ぱっと振り返ると、すぐ近くに壮くんの綺麗で整った顔があった。


「あっ、えっ・・・?!」

ぎゅっと、スクールバッグを握る。
突然のことに、頭がついていかない。
こんな・・・

「・・・って呼んで」

「・・・え?」

「壮くんじゃなくて、壮って呼んで。」

そう言って、また悪戯っぽい顔。

「・・・・・・っ、む、無理だよ・・・」

「いいから。」
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