ぼっちでも
だけど、食材を手に取って見てはみるものの、なんとなく虚しさだけが募っていく。どうせ作っても食べる事のない料理達。そう考えると手にした食材も自然と元の位置に戻してしまう。
もしかしたら、私が料理をさぼっても彼は気が付かないかもしれない。いや私が彼の為に夕食を用意している事をすら彼は知らないかもしれない。だったら別にいいじゃあないか。今日ぐらい夕食を作るのをさぼったって。どうせ彼は気が付かない。気付かないんだったら。だって、彼は私に興味なんてないのだから。
そこまで考え付いてハッとした。その考えはあながち間違ってはいなそうだったから。
そう、彼は私に興味がない。結婚したって彼は多分今まで通り自分のペースを崩さず生活している。
私はもしかしたら体のいい家政婦ぐらいにしか思われてないのかもしれない。いや、そう思われてるだけましなのかもしれない。
だって存在事態を否定されていそうな気もするから。