地獄の果てでキミを愛す
ホットミルクを飲む桜の顔は幸せそうに緩んでいた。


それすらも気に入らない。


俺以外の事で
そんな可愛い笑顔を見せるなんて。


内心で湧き上がる怒りを必死に抑えて
コーヒーを啜った。



「そう言えばさ」

「ん?」

「どうして彼氏がいると嘘を吐いたんだ?」



ふと頭に浮かんだ疑問を
桜にぶつければ少し困った様な顔で俺を見つめてくる。


だけど許してやらない。

俺がどれだけ傷ついたのか
お前は知るべきだ。


ワザと黙ったままいれば
桜は観念した様に小さく口を動かしていた。



「直哉に私を見て欲しかったから」


マグカップに唇を付けながら
ボソリと言う桜に胸が高鳴った事は言うまでもない。
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