地獄の果てでキミを愛す
「アイツにも感謝をしないとな」

「アイツ?」



不思議そうに首を傾げる桜。

どうやら独り言が漏れていたらしい。
まあ、隠す事ではないからイイか。


そう思いつつ俺は桜の首についていた首輪を
触りながら目を細めた。


「この首輪も、あの鎖も、手錠も。
全部、亮太から貰った物なんだ。
あの時は監禁をするなんて思ってもいなかったがな」



自嘲気味に笑えば桜は大きく目を見開いた。
そして何かを考え込む様に言葉を閉ざす。


「桜?」


堪らず声を掛けたが
俺の声なんて耳に届いていないみたいだ。


「……桜」


苛ついた俺は少し低く名前を呼ぶ。
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