君と秘密のラブレッスン
「ごちそうさま!よし、行くよつぐみ!」
「はい!」
ほぼ同時に朝食を食べ終わった私と新菜は、しとやかさのかけらもない騒がしさでガチャガチャとプラスチック製の食器がぶつかり合う音を立てながら席を立つ。
超スピードで食器を返却口に持って行き、もうほとんど人のいない食堂を後にした。
食堂を出て高等部の校舎に向かう途中、駆け足になりながら制服のポケットに入れたスマホが震えたのを感じたけれど。
あと5分で、予鈴が鳴る。
とてもじゃないけど確認なんてしていられなかったから、スルーした。
一度震えただけだったから、メールかLINEだろうし。
「はー、何とか間に合った!」
校舎に辿り着いて、上履きに履き替え、3階にある教室に滑りこんですぐに予鈴が鳴った。
「おはよ、今日も間にあってよかったね」
自分の席に着くと、隣の席の咲ちゃんが、私と、私の前の席の新菜に笑って声をかけてくれた。
「おはよー。ホント、毎日遅刻しないかヒヤヒヤだよ」
はあ、とわざとらしくため息をついて見せた新菜。
「だからごめんってば!明日はもう少し早く起きれるように頑張るから!」
鞄からノートや筆記用具を取り出しながら、私はそう宣言する。
だけど、返ってきたのはふたり分のため息だった。