もっと、キスして
誰の声か分からなくて振り返る前に考えた。
黒髪の人でも、可愛い感じの人でもない。
あの人たちはあんな低い声じゃなかったはずだし。
金髪だ。
ずっとしゃべってなかったあの人。
ゆっくりと振り返ると視線がばっちりと合った。
その目は明らかにちのではなく私に向けられたもので。
「なに。」
「お前名前は?」
「…はあ?」
あんたが先に言ってから聞くのが礼儀じゃないの?
ちのはさっきからビクビクしすぎて怖がっているみたいだ。
ちののこと怖がらせないでよ。
「あ、そうだよ俺らも自己紹介してねえじゃん大貴!」
私の気持ちを察したのか、ただただ思い出したのか。
可愛らしい人が黒髪にそういった。
「確かに。
俺は壱原大貴(イチハラ ダイキ)。」
黒髪の人が笑って言う。
うん。そうみたら確かに少しかっこいいかも。
生憎、興味はないんだけどね。
「俺は瀧本泰成(タキモト タイセイ)だよ!よろしくね!」
これはこれでまた…かっわいい…。
「篠宮ちのです!よ、よろしくお願いします!」
なぜかちのは律儀に頭まで下げて丁寧なごあいさつをしている。
「いやこれ以上よろしくしないし。」
「もう凛っ!ほんとに失礼だからやめて~!」
「凛ちゃんにー、ちのちゃん。」
「ちゃん付け、しないで。気持ち悪いから。」
壱原先輩に呼ばれてさすがに鳥肌が立った。