もっと、キスして
その男たちが、一人のこちらに向かう男を止めようとしたとき、
「お前らの相手なら俺がしてやるよ!」
って勇敢でかわいらしい聞き覚えのある声がした。
泰成。
それに気づいた瞬間、
私の背中は軽くなって。
そして私が一番望んでいた人が、
聞いたこともないような恐ろしい声で
「何しようとしてた?」
静かに聞いた。
ここに集まった不良たちは、相当弱かったのか。
それとも泰成と龍青が相当強いのか。
2人と複数人なのに、優劣の差は明らかだった。
「凛、お前はこっち。」
なぜか少し遅れてきた大貴は、私を安全な場所へと連れ出そうとした。
「大貴、待て。」
龍青は殴り合いをしているのに自分のブレザーをこちらに投げてきて。
どれだけ余裕なのかいくらばかな私でも歴然としていた。
「気が利くねえ。」
「凛のこと、頼むな。」
「おー。」
大貴がかけてくれた龍青のブレザーからは私の好きなあの匂いがして。
心が落ち着いた。