もっと、キスして



「あ、そこ右。」


「早く言えよバカ。」


「言わなかったらどこ行くのか試したかったの。」


「はあ?」



でも龍青全然知らない道入っていくし。



「今どこか分かってんのか?」


「多分次の次左でその次右でちょっとしたらあると思う。」


「なかったら俺ん家泊まれよ」



ちょっと怒った感じに言った龍青がなんか可愛くて。



「ごめん怒んないで。」


って笑いながら謝っといた。


「怒ってねえよ。」


「ふふっ、知ってる。」



ほんとに怒ってたら喋ってなさそうだし。



「おい、あんのかよお前の家。」


「あるよ。」


「はあ?」



信じられないって声してる。



バイクを降りた私は龍青の横に立った。


あ、いま、私の方が背が高い。




「どこも電気ついてねぇけどほんとにあるのか?」



「一人だから。」



「親は。」



「そこ聞きたい?」


苦笑い…だと思う。


いつも、親のことを聞かれるとどうやってはぐらかしたらいいのか分からない。



「親は…遠くで暮らしてる。」


「家、帰りたくねえのか。」


「そんなことない。」



帰りたくない、帰りたくないよ。



龍青、寂しいよ。



「…正直に言えよ。

お前いま泣きそうな顔してんぞ。」


「…帰りたくない。

朝1人なの。夜も、1人なの。学校から帰っても、家の明かりがついてないの。


親が、どこにいるか今何してるかも知らないんだよ。」



言ってるうちに、涙が溢れそうになった。


でも、泣けなかった。


昔からのクセだから、泣けなかった。



「とりあえず荷物もってこい。今日は泊まれ。」


「え…」


「その状態のお前1人家に置いとくわけには行かねえだろ。

早く荷物持ってこいバカ。」



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