もっと、キスして


旧校舎だってそんなに狭いわけじゃない。



一部屋一部屋探してたら、

その間にももしかしたらちのは危険な目にあってるかもしれない。



「そうえば。」


ちのはケータイをマナーにしてないはずだ。



ケータイを鳴らせばこの静まり返った校舎のワンフロアぐらいにはせめて聞こえるはず。



ちのの番号に急いで電話をかけた。



「ちのーっ、ちの、いるなら返事して。」



大声で叫びながらたまに耳をすませる。



ほんの微かだけど、ちののケータイの音が聞こえる。



「下だ。」



2階に降りると、その音は大きくなって。



「ちのーっ、ちのいる?」



廊下を歩いていると、一つの教室の前でちのの着信音が一層大きく聞こえた。



「ちの!?ちの、いるなら返事して?」


ドアには鍵がかかっていた。



「…り、ん?」


「ちの。ここにいる?」


「うん、閉じ込められてる…」



そのドアは外からしか鍵が掛けれないようになっているらしかった。



「分かった。

今助けるから。もしドアの近くにいるなら離れといて。」



その部屋以外はどこにも鍵がかかっておらず。


なにかの準備室なのか、古びた木造の開き戸だった。



一番近く教室から椅子を持ってきて、そのドアを叩き壊す。



「凛…、」


「…っ」



そこに座り込んでいたちのの制服はボロボロで。


上半身はブラジャーだけ。



「なに、されたの…」


「わかんな…」



一言喋ったちのの目からは涙が溢れた。


「気づくの遅かったよね…ごめん、ちのごめんね…」


ちのを抱きしめると、彼女の体はとても冷たくて。


「ううん、そんなこと…っ、ない…、

きてくれてありがとう…、怖かった…っ、」


「もう大丈夫。…ちの、取り敢えずこれ着て。」



私のブレザーを羽織らせる。



「…りん、凛の家…泊まっちゃダメ…?」


「っ…」


まだ、片付ける気になれなくて、服が散乱したままのあの部屋。


多分余計心に負担かけちゃうよね…。


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