COOL GIRL

彼女はいつも静かに座っている。

頬杖をついて、淡い瞳で、窓の外を見つめている。

彼女の名前は河野 翼(カワノ ツバサ)

入学式ですれ違ったのを覚えている。

中性的な整った顔立ち。

涼しいオーラ。

凛とした態度。

周囲を寄せつけない眼差し。

音もなく歩き去るその姿は、まるで幽霊のようだった。

そんな女性に藤野が声をかける理由。

それはきっと「好き」だからだ。

彼女のどこを気に入ったのか分からない。

藤野に好きになってもらいたくて、一生懸命努力したのに。

彼が好きになったのは、私と似ても似つかない河野さん。

なんで?どうして?

疑問が頭の中でグルグルと回転する。

「愛、トイレいこ」

綾香ぎトイレに誘うので、一回冷静になってみる。

きっと藤野は、河野さんをからかっているだけかもしれない。

本気じゃないのかもしれない。

河野さんだって、男に興味なさそうだし。

淡い希望を胸に抱いて、私はそのまま午後の授業をサボるため、屋上へ登った。




< 12 / 14 >

この作品をシェア

pagetop