COOL GIRL
彼女はいつも静かに座っている。
頬杖をついて、淡い瞳で、窓の外を見つめている。
彼女の名前は河野 翼(カワノ ツバサ)
入学式ですれ違ったのを覚えている。
中性的な整った顔立ち。
涼しいオーラ。
凛とした態度。
周囲を寄せつけない眼差し。
音もなく歩き去るその姿は、まるで幽霊のようだった。
そんな女性に藤野が声をかける理由。
それはきっと「好き」だからだ。
彼女のどこを気に入ったのか分からない。
藤野に好きになってもらいたくて、一生懸命努力したのに。
彼が好きになったのは、私と似ても似つかない河野さん。
なんで?どうして?
疑問が頭の中でグルグルと回転する。
「愛、トイレいこ」
綾香ぎトイレに誘うので、一回冷静になってみる。
きっと藤野は、河野さんをからかっているだけかもしれない。
本気じゃないのかもしれない。
河野さんだって、男に興味なさそうだし。
淡い希望を胸に抱いて、私はそのまま午後の授業をサボるため、屋上へ登った。