桜道【実話】
《おまたせ~》


『おうっ~お疲れ!』


こないだの無口なナオの

姿はなかった。


車の中からココナッツの

匂いが消えていた。



『何が食べたい?』


いつものナオのセリフ。


《ん~ファミレス?》


『そんなんでいいの?』


ナオが少し驚いた顔を

した。


《いいよ!あたし

よく行くもん~》


『そうか~

ならそうするか!』



【きっと

年上の彼女とは行かな

かったんだろうな…】



『なぁ~タバサ!』



【ドキン!!】



ナオの左手が伸びて

あたしの肩を抱き寄せた。



《ぁっ…なに?!》


ドキドキが早くなる。



あたしの顔はナオの左肩

にくっついていた。



『電話の続き!俺と付き

合ってくれるか?』



【キュン……キュン】



ナオの心臓の音が

あたしの右耳に聞こえ

てきた。



《あたし…ナオの事

まだよく知らないょ…》



あたしは不安だった。



『そうだな!じゃあ…

これから毎日逢うか!』




車が急ブレーキの音と

共に止まった。




そして

ナオはあたしに

キスをした――――





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