桜道【実話】
〈ナオくんへ
今までありがとう……〉
綺麗な文字と一緒に
あたしの目に飛び込んで
きた最初の一行。
【ドキン…ドキン…】
《あたし…いいよ…》
あたしは
手紙に触れられなかった。
『いいのか?』
《うん…いい…》
あたしは
手紙を握るナオの腕を
突き返した。
『タバサ心配すんなよ~
お互い幸せになろうって
書いてあっただけだよ』
《えっ?お互い??》
『あぁ~
あっちも俺の事は
いい思い出だってさ!』
【ぁぁ~終わったんだ…
ちゃんと前の彼女が納得
してくれたんだね…キュン】
ずっと引っ掛かっていた
不安がひとつ解決した。
残すは
もうひとつの
大きな不安――――